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腸に潰瘍及び穿孔を合併せる壊疽性鼻炎の一例
川島 達雄
1
,
古賀 慶次郞
1
1慶応義塾大学医学部耳鼻咽喉科教室
pp.630-635
発行日 1955年11月20日
Published Date 1955/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201424
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緒言
鼻腔,稀に口腔より始り顏面中央部,咽頭,口蓋に進行する壊疸性潰瘍を主徴候とし,全身衰弱又は潰瘍よりの出血のため死亡する予後極めて不良なる本疾患については1917年Kaufmann1)以来,我国に於ても80例近くの報告がある。特に報告症例は近年急激に増加し,最近3年間に約40例の報告があつた。病名も報告者により種々であり,馬鼻疸類似症2),壊疸性肉芽腫3),granulomatous ulcer of the nose and face4),Osteomyelitis necroticans faciei5),Granulsma gungrenesens6),Rhinogene Granulomatose等がある
本疾患の本態については依然不明で,治療法も確立されていない。我々の経験した症例は剖検の機会に恵まれ,図らずも腸粘膜に潰瘍を発見し,それが鼻の潰瘍と同一組織構造を示した。かゝる剖検例は未だ報告せられざるところあつて,興味ある1例として発表する次第である。
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