特集 耳鼻咽喉科診療の進歩
喉頭癌手術法の進歩
岩本 彦之烝
1
1九大
pp.758-766
発行日 1954年12月15日
Published Date 1954/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492201251
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喉頭癌はClerf(1948)に依れば全悪性腫瘍の4%を占め耳鼻咽喉科領域では食道癌,上顎癌,気管支癌と共に最も多い癌腫で而も年々増加の傾向にある。我教室に於ける各年度別の喉頭癌患者数を示すと第1表の如くで昭和11年から同20年迄の10年間の喉頭癌外来患者は1年間平均29例に過ぎなかつたが,終戦後の昭和21年より現在(昭和29年9月)迄の同患者は平均44例に増加しており之等総計689例のうち喉頭全摘出術を施行したものは212例,甲状軟骨ラジウム埋没照射療法を行つたものは22例である。
喉頭癌の外科的療法としては喉頭内手術法,喉頭截開術,喉頭全摘出術の3つが主なものであるが,我々の臨床に於ては喉頭内手術或は喉頭截開術を行つた例は1例もない。それは喉頭内手術を行えるような初期喉頭癌は1例も見付からなかつたためと,喉頭截開術の適応となるような患者に対しては之と殆んど優劣のない甲状軟骨ラジウム埋没照射療法を行つたためである。
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