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緒言
1917年S. Kaufmannにより始めて報告されてより欧米及び吾国でも多数報告され,昭和14年より同29年迄にその数は66例に及んでいる。その発生原因は不明で,その治療法は未だ確立されていない現状であつて,本症は進行性壊疽性鼻炎,壊疽性肉芽腫,馬鼻疽類似症等種々名付けられる謎の疾病として呼ばれている。本症の発生原因に対する諸説は細菌説,悪性腫瘍説,悪性腫瘍の二次感染によるという説の三つに大別される。その他外傷説,アレルギー説,全身栄養障碍説,抵抗減弱説,特発性脱疸との関連説もある。又本症は単一の原因とせず,多元的なものとして取扱はれている。山川教授は壊疽性口内炎に於ける「スピロヘータ」の深部侵入を原因としている。悪性腫瘍説では立木教授の肉腫説であり,鼻腔内の細綱肉腫は壊疸性変化を起すことがある。同教授はその発生原因を腫瘍細胞の旺盛な発育のため,肉腫組織自身に依つて,その血管を圧迫し,又直接血管内に破壊して之を充塞し,栄養障碍を起す為 壊疸を生じると言つている。年齢及び性別による罹患率は30代に最も多く,男子の方が女子よりも約2倍の罹患率なることを報告されている。
最近吾々は進行性壊疸性鼻炎の一症例に対し種々な治療法を試み,ある程度の効果を得たので此処に報告する。
Shugyo and Nishimoto report that they successfully brought to cure a case of acute progressive necrotic rhinitis by adopting measures that included the use of chemotherpeutic agents,(suffa-drugs and sarcomycin) and deep X-ray therapy. The diagnosis of the case is made by microscopic examination of biopsy specimen.
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