--------------------
長期間介在した巨大な外傷性鼻内異物の1症例
佐藤 寬
1
,
三原 伸
1
1岡山大学附属病院金光分院
pp.564-566
発行日 1952年12月20日
Published Date 1952/12/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200800
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
鼻内異物はその侵入門戸により自然孔を介するもの,及び自然孔以外の部を経由するものとに分類され,前者は更に前鼻孔を介するもの及び後鼻孔を介するものとに分ける事が出来る。而して自然孔より入る異物は前鼻孔経由がその大部分で,之は日常屡々経験される如く小児に多く,夫の多くは遊戯中挿入されて忘却されたものである。大人に於ては鼻内異物で然も自然孔経由のものは極めて稀で精神病者に於て僅に見られる事あるのみであり,その殆んどが外傷によるものである。外傷性鼻腔異物は戦時中には多数経験せられた所であつて射創に依るものが最も多く,平時に於ては空気銃,ピストル等の彈丸異物の過失発射によるものが多い。最近余等は7年間も外傷性異物たる事を本人自身知らすして経過し,治療に当つた余等も亦不注意ながら摘出する迄外傷性異物たる事に気付かず,摘出後始めて巨大な砲彈破片たりしを知つた鼻腔内異物の1症例に遭遇し,些か興味を覚え此処に之を報告したい。
Copyright © 1952, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.