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緒言
私共は日常語の発育が貧弱であると考えられる子供について,聽覚の有無をしらべることが必要な場合が屡々あるが,一般に大人に用いられる聽力検査法は用いられない。それ故今日迄拡声器,太鼓,シンバル,口笛,鈴等によつてその方向に振り向くかどうかを見たり,或は聽性眼瞼反射,聽性瞳孔反射等を用いているのであるが,此の場合には視覚,觸覚の刺戟戟を防ぐことを必要とし評価が可成り困難である。1949年UtLeyは音源を知らせないで音を与えて,此れによつて車を動かすことを教え,子供の条件反射を利用する方法を発表し,その後他の研究者も種々な条件反射法を発表しているが,多くの意見ではこの方法も亦全く子供の協力が必要であつて,条件反射法で聽覚の有無を正確に知る事が出来るのは2-2.5才以後であると云つておる。それ故に患者の自覚によらない検査法が必要となつて来るのであるが,他覚的に聽覚検査を行う方法としては脳波による方法と,精電現象を利用する方法をあげる事が出来る。
脳波は1929年始めてBergerによつて人間について実施せられてから,各国学者の注意を惹き1930年以来その研究が軌道に乗り,急速なる発展を遂げるに至つた。しかし脳波の不利な点は電気現象が実験条件によつて著しく異なつて来ることであり,殊に生命現象と直接関係のない物理的条件によつて著しく左右され易いということである。又この現象は個々の細胞,組織から出る電気的変動の総和として現われるので,それを分析することが大きな困難を伴う。その点精電現象は脳波と異なつて物理的条件の中,交流の影響が波形を乱すことが少なく,検者がその反応を誤まることがあまりないので,私は精電現象と条件反射とを組合せて他覚的に聽力の検査が出来る事を考え先づ器械を製作して実験に着手したのである。文献を見ると現在この研究はBordley,Hardy,Richter(1949)によつて研究が進められており,精電と脳波と条件反射を組み合せて行つている人にMichel,Rand,Doerflerがおる。
SHIMA devises a method with which audiometry may now be conducted as an objective test. By using pure tone for conditional stimuli and galvanic current for norconditional one a conditional reflex is established on the subject of examination. Measurement of the amount of current used is made by galvanometer; The weakest tone capable of causing response is transposed into electrical energy and it is also measured. Twenty two deafmute and 15 normal children are examined under this method. Lowering of threshold of hearing is definitely shown in this method as compared to the ordinary way of testing. Its application for testing younger children appears to be especially suitable.
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