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聽力検査(11)
pp.103
発行日 1952年3月20日
Published Date 1952/3/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200626
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聽力検査をオーヂオメーターで盛に行うようになつたが,その結果を比較する時に問題になるのは基準となるOレベルである.Oレベルは正常聽力者の最小可聽音ということになつているが,聽力を測る場所によつて,即ち周囲の騒音のあり方によつて変つてしまう.絶対防音室で行えば,略一定するであろうがこの設備が何処にもあるというわけにはいかない.又正常聽力者とは何を云うか,これも問題である.鼓膜を見ただけではあてにならない.日常生活に支障のない人で,難聽のある人もいる.
現在ではOレベルは,測定する場所で,正常者と思われる多数例を測つてその平均値をとつているのが多いのではないかと思う.この方法はこれでもよいであろうか,各地で思い思いに行うと,そのOレベルの音の大さも異つたものが出てくる可能性が多い.そこで何等かの方法でOレベルを規定してはどうであろうか.米国では18〜23才の人の最小可聽音を11ccで0°c1気圧0,000204barとして音圧できめてある.日本ではやはり日本人で防音室を用いて,多数の正常人の平均値を測りこれを音圧になおしてOレベルをきめればよいであろう.これは耳鼻咽喉科学会で行う1つの仕事ではなかろうか,このようにきめたオーヂオメーターを作つておけば相互の比較はうまく出来ると思う.
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