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耳鳴と聽力との関係について先人の業績に照しつゝいさゝか私見を報告したいと思う。
先ず第一に耳鳴の吾人に及ぼす影響は(I)其の一種の騒音としての聽力障碍であり(II)は精神的なる不快さである。一般に物理的には音の要素は強さ(intensity)高さ(Pich)音色(quality)であるが耳鳴の立場から云えば大いさ(loudness)高さ,音色である。耳鳴を物理学的に如何に解釈すべきか(仮に或る種の音として)問題であるが一般に感ずる大いさ高さ音色と及びそれらの時間的変化が問題でありこゝに耳鳴の特異性があると考えられる。斯る心理的,主観的なる因子の多い量を物理的数値を以て表現することは何らかの無理が存在するものであるが,其の概略的測定として隠蔽法を以てする測定法を報告した(23巻5号)次いで耳鳴の型の分類法として隠蔽前後に起る現象より波型,断続型,同調型のあることを報告し,FowlerのNonvjbrating Tinnitusは第3型でありVibrating Tintusには2つの亜型の存在することを認めた(25巻11号)抜て此等の実験中耳鳴の存在により聽力の低下著しきを訴える者が少くなかつたが,此れらが耳鳴を惹起している本来の原疾患によるものか,耳鳴なる一種の騒音の存在による聽力障碍によるものか将又此等の合併せるものか多くの疑問をのこされたので先の測定法を以て測定させるにたかだか5〜8dbにすぎない。実際5〜8dbの騒音が健耳の聽力に如何なる影響を与えるかについて次の如き測定を試みた。即ちMasking tone Generatorを以て騒音を発生せしめ,一方512∽のオージオメーター音の聽取に如何に影響するかについて第1図の如き関係を認めた。
MIZUOCHI states that the pitch of tinnitus aurium at its maximum may never measure more than 10 db. Consequently, actual impairment of hearing the presence of tinnitus may cause, if any, should be slight. Such effects are more psychological than physical. The author considers any form of tinnitus to be a paresthesia. Prognosis for capacity of hearing seems to be bad when the manifested tinnitus aurium appears to be progressively increasing in its loudness.
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