CLINCAL REPORTS
按摩及び通気法による鼓膜穿孔例/外傷性前頭洞炎治験例
山川 強四郞
1
1阪大耳科
pp.263-264
発行日 1951年6月20日
Published Date 1951/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200515
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鼓膜の外傷性穿孔中直接凶器によるものは稀で余は箸,あみ針,マツチの軸等による例を記億しているが文献には其の他耳掻,カンザシ,ピン,ピシセツト,桑実(丸山)等がある,介達性即外耳道気圧の急激な変化に依る穿孔は甚だ多く特に叱られ或いは喧嘩の際手掌で耳を打たれ,或いは戦前では劍道の横面(山田124例)戦中其の他での爆発(島津49例)によるもの最多で,水泳の飛込(清水,種村)硬球,軟球,角力,柔道,蹴球籠球雪彈,坑山の落磐擤鼻(丸山)等もあるが通気法やキツスに依るものは教えられた丈であり,按摩に至つては初耳であると思うが今回同一人で通気で1回,按摩で1回然も部位を異にして破れた例を見たので他日統計をとる人の為に報告しておく.
患者は今46歳,船員の妻,26歳初産時両側耳鳴難聽を訴え始め28,31歳とお産毎に耳鳴難聽増加するので34歳の時通気を受けた所,右耳にガシヤツと大きな音がして後殆んど聽力は消失した,医師は「鼓膜が弱かつた為破れたのだ」といい,其後時を經て多少聽力は増加したが破れぬ前程に回復せず接耳大声を解する程度であつた其の後放置していたが2週間前(46歳)按摩をとつてもらつていた時右耳介を前に押して急に離されたらコツンと音がして聽力は急に消失したという.
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