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緒言
鼻外法に依り,前頭洞,篩骨洞,蝶形洞の手術を施行した場合,時として重篤な再発性前頭洞炎を起してくる事は,諸家1)〜10)の報告にも見られる所である。従来の再発性前頭洞炎の報告では,原因として病的粘膜の遺残に依るものが多いが,荻野式手術11)〜12)では上顎洞の一部を除いた全副鼻腔が,手術野として露出されるので,荻野式手術後に起る再発性前頭洞炎に於ては,鼻前頭交通路或は前頭篩骨交通路の閉塞が主因をなすものと考えられる。著者は,しばしば,荻野式手術後に起つた閉塞性再発性前頭洞炎症例に遭遇したので,この対策を種々検討した結果,前頭中隔穿孔可能例に対しては,ここを穿孔して他側洞への交通路とし,前頭洞の対孔とする事を考案した。この様にすれば,術後鼻前頭交通路,前頭篩骨交通路が閉塞する事があつても,前頭洞内の貯溜液又は膿汁は,前頭中隔に設けられた交通路より他側の前頭洞へ流出し,鼻腔へ排出される様になるので,閉塞性再発性前頭洞炎の多くの例が救えるのではないかと考えられるのである。著者はこの見地に立つて,昭和34年7月より昭和38年9月迄に,閉塞性再発性前頭洞炎症例の2例を含む10例に対して,荻野式副鼻腔骨形成手術を施行の際,前頭中隔に交通路を造成し,前頭洞の対孔とした。著者はこの方法に依つて,従来しばしば問題とされて来た,鼻外前頭洞手術後の閉塞性再発性前頭洞炎の発症を,何割かは救い得ると考え,現在僅少例ではあるが報告し,諸賢の御批判を仰ぐ次第である。
As a means to prevent re-infection of fron-tal sinus from postoperative adhesive closure a fenestration is devised in the frontal sinus septum. Using this method favorable results are obtained in 10 cases of frontal sinus operations, including 2 cases of re-infections during the period of 3 years, July 1960 to September 1963; the frontal sinuses were opened and operated upon by Ogino's method to which were added the fenestration of the intramural septum. This procedure is carried out with ease in cases where the frontal sinuses are favorably developed.
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