CLINCAL REPORTS
ペニシリンによつて奏効した原発性喉頭気管オツエーナ,他
藤村 功
1
1北大耳鼻咽喉科教室
pp.262-263
発行日 1951年6月20日
Published Date 1951/6/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200514
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緒言
喉頭気管にオツエーナが原発することの甚だ稀なる事は成書に記されている,外国の文献にも原発性のものは1867年Babinskyが喉頭気管に悪臭ある痂皮を有する1例を報告したのを嚆矢とし,以来種々の討論を經て,オツエーナは呼吸道の何れの部分にも原発し得る疾患なりとされていた,本邦に於ては昭和6年猿渡氏が気管オツエーナの1例を報告しためが最初で,爾来僅か10指に満たざる報告例を見る位である,而してその際の治療も卓効を奏した例がないのである,私は最近原発性喉頭気管オツエーナの患者に接し,ペニシリン療法を試み,卓効を奏したと思われる例を得たので報告する次第である.即ち高度の嗄声及び呼吸困難を主訴として来院し,喉頭鏡下に於て一見喉頭腫瘍を思わせる樣な痂皮塊を有するのを鏡見し,入院せしめてペニシリン注射並びに吸入を試みて軽快退院させる事が出来たのである,このペニシリン療法を行つた際の症状及び經過は臨牀上聊か興味があると思惟し茲に大要を記述する次第である,
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