論説
所謂鼻腔血瘤腫の一例
菊地 進三
1
1東京醫科齒科大學耳鼻咽喉科教室
pp.135-137
発行日 1947年12月1日
Published Date 1947/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1492200031
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緒言
鼻腔・副鼻腔の良性腫瘍で臨床上總括的名稱である鼻腔・副鼻腔血瘤腫が,時に惡性腫瘍に極似した臨床症状を呈する事があるのわ周知の事である。
抑々血瘤腫なる名稱わ田所氏が大正6年「上顎洞に發生せる良性腫瘍にして鼻閉・鼻出血・顏面膨隆等の臨床症状を呈し組織學的には粘液性茸内に出血を來し血瘤を形成せる腫瘍」に對し命名發表したので,泰西には此の血瘤腫なる名稱わ用ひられて居らない。然し乍ら田所氏の所謂血瘤腫に類似し同一視得ると思われる報告わ,泰西にも存し,本邦に於てわ田所氏の發表以前にも明治22年岸氏,明治39年村山氏,明治43年上野氏,明治45年岡田氏等が血瘤腫とは別命にて報告してゐる。田所氏の命名發表以來今日迄血瘤腫の報告わ80例を超過している。
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