Japanese
English
--------------------
皮膚科領域におけるビタミンK1の応用
APPLICATION OF VITAMIN K1 FOR SKIN DISEASES
大久保 正己
1
Seiki OKUBO
1
1信州大学医学部皮膚科
1Department of Dermatology, Faculty of Medicine, Shinshu University
pp.169-173
発行日 1966年2月1日
Published Date 1966/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204290
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
I.はじめに
ビタミンK (以下V.K)は血液凝固に関するビタミンとして各種の疾患の治療のため応用されている。従来V.KとしてはK1,K2など天然のものと,Kと同様の作用を有するK3,K4等が知られている。
V.K1(2-methyl−3-phytyl−1,4-naphthoquinone)K1に対する研究では血液凝固に関係するものが圧倒的に多く,凝固因子のプロトロンビン形成を中心に行われている,しかし最近ではその臨床的応用が非常に進歩し,拡大されつつある。V.K1は凝固因子の形成賦活作用以外に,肝臓疾患の治療にも用いられ,同時にプロトロンビン値の上昇を促進してその機能の保護を目的とし又,胃腸疾患或は肺結核の治療などにも用いられる。その他出血性疾患,抗凝固薬療法施行中の過剰出血予防,新生児出血性疾患の治療,及び肝機能検査など広範囲に応用されている。一方Gy.Feketeらは,V.Kを対象にプレドニゾロンの種々の薬理作用を研究した結果,V.Kにプレドニゾロン増強作用のあることを報告し,併用効果についてはV.K3によつてその効果を約3倍に増強させることが出来ると述べている。浮腫を有する疾患に対してもV.Kが有効であることはKüley (1949)らの報告があるが肝硬変症或は慢性腎炎などの浮腫に用いて著しい利尿作用のあつたことが認められている。この作用機序は不明で約1週間後にその効果が現われると云われる。
Copyright © 1966, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.