Japanese
English
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ビタミンK1のコルチコイド様作用に関する検討
STUDIES ON THE CORTICOID-LIKE ACTION OF VITAMIN K1
中村 家政
1
,
藤木 達士
1
,
佐藤 昭士
1
,
寺尾 好道
1
,
中西 通子
1
Iemasa NAKAMURA
1
,
Takashi FUJIKI
1
,
Shoshi SATO
1
,
Yoshimichi TERAO
1
,
Michiko NAKANISHI
1
1熊本大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, School of Medicine, Kumamoto University
pp.153-165
発行日 1965年2月1日
Published Date 1965/2/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204009
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I.はじめに
ビタミンK1(以下V.Kと略)は元来一種の止血剤として知られていたが,1963年ブタペストのFeketeが本剤にcorticoid様作用を認めて改めて注目されるに至つた。併し当時Feketeはこの機転を本剤が,小環状化合物である処から,内因性,若しくは外因性のcorticoidが肝で△4−3ketoneの代謝を受ける際必要な補酵素TPNH或はDPNHのHをV.Kがとつて,cortisolの環元を阻害するのであろうと推測したが(第1表参照),同じ環状化合物であるPAS, Butazoli—din, Aspirinなどでは可成り以前より同趣の作用が確認されている(第2表)。従つて今仮に本剤の斯種作用が他の環状化合物を若干凌ぐとしてもそれだけの理由では結局corticoidを少しく増量した場合と大同小異の結果となり,本剤に対する魅力は半減する。処が諸家の報告より憶測すると,どうもそれだけではなさそうである。例えばV.Kは細胞レベルでミトコンドリアの酸化的燐酸化を促進し,ATPを旺に産生するという。この事実は副腎細胞を賦活,acetateからcortisolへの生合成の各段階(第1図)に関与する可能性を憶測せしめる。この他中尾氏らは本剤に可成り強い肉芽形成阻止作用を,又二宮らはtrypsin炎症の血管透過性を阻止する作用を,何れもV.K単独投与で認めている。更に又私共の試用経験に際しても本剤は他の環状化合物を凌ぐ効果が認められているが,これ等の作用は矢張りcortisolの代謝抑制作用だけでは説明がつかない様である。
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