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I.緒 言
血液凝固ビタミンとしてビタミンK(以下V. K)が命名されてより約30年を経たがV. Kの血液凝固因子に関する作用以外の研究が次第に明らかにされるに至つた。V. KにはK1〜K5の5種類が存在する。一般にV. KとはK1,K2を指すが,合成品のK3,K4,K5にもV. Kの作用があり,この中K1,K2は天然のもので脂溶性であるのにK3,K4,K5は水溶性,合成V. Kである。K3,K4は止血力弱く又これらの投与で溶血性貧血や核黄疸を来す恐れがあるがK1にはかかる危険がなく且つ速効性,強力な血液凝固作用を示すため臨床的に普及されつつある段階である。一方V. K剤には血液凝固作用の他に酸化的燐酸化に関与することが明らかにされ(Martius1)),Fekete2)によりV. K3に凝血効果と別にSteroidhormon増強効果のあることが報告された。又河野3),熊谷4)等はV. K1のこのようなGlucocorticoid作用増強効果を検討し,V. K1にSteroidhormon増強作用をみることができたとのべている。しかしこのV. K1のSteroidhormon増強作用に於ける作用機序については充分に解明されていない。一方Steroidhormonは強力な抗炎症作用を有し,応用範囲も各領域に於て拡大し,繁用されているがその作用はあく迄もmorbidistaticであり皮疹が一時消失しても中止後にしばしば再発,再燃がみられこの投与中止後の再発防止の問題は未だ充分の解決がみられていない。V. K1に関する上記の所見殊にV. K1にSteroidhormon増強効果のみられるという見地よりSteroid治療に際し,V. K1の併用によりSteroid剤単独投与時の治効の増強,Steroid剤投与中止時に於ける再発防止等の効果等が期待されている。私も以上の見地より皮膚疾患殊にアレルギー性皮膚疾患に対し各種Steroid剤を投与し,これにV. K1を併用することによりSteroid剤単独投与時の治療効果増強,Steroid中止後の再発を防止しうるか等の点について臨妹的,実験的観察を行つたのでその結果を報告する。
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