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(1)はBoucher法で抽出し,Peart法でbioassayした血漿レニンをめぐつて,正常人(体位変更,Na制限,Na負荷) Conn症候群(術前後,Na制限),腎血管性高血圧を比較したものである。正常人ではNa制限でrenin↑,aldo↑,Na負荷でrenin↓,aldo↓,Conn症候群3例の11回測定では術前つねに血漿レニン(0),Na制限でも反応せず,術後は一定期間(5〜75日,この間は尚juxtaglomerular cell修復せず)の後に,血漿レニンが正常域に証明された。しかしその後も血漿レニンとアルド排泄量とは一定の関係がない。Conn症候群ではレニン産牛が強度に抑制されているといつてよい。利尿剤を与えられ低K血症を呈した高血圧はConnと鑑別がむずかしいが,Connではaldo↑,renin↓。悪性高血圧・腎血管性高血圧・Bartter症候群ではaldo↑,renin↑という点で鑑別できそうだ。ことにangiotensin注でConnは高反応,腎血管性高血圧では低反応である。
(2)血漿レニンを指標として,Connの鑑別をたしかめようとするもの。Connでは早期には数年低K血症があらわれない。一方,腎性高血圧では,副腎剔除例で21%,剖検で20%ほど,副腎に小腺腫(1.5〜10.5cm)を発見しうる。こうなると,臨床所見のみならず,副腎所見まで両者鑑別がむずかしくなる。血漿レニンを考慮に入れると,正常人0.03〜0.12Goldblatt unit,悪性高血圧0.36〜0.6G.u.,腎血管性高血圧0.17〜1.58G.u.というHelmer(Canad. M. A.J. 90:221, 1964)が参考になる。Helmerの値はConnの測定とは別法で,かつ,症例の選択もあつて,不完全と思われるが,今後,この方面の開拓がのぞましい。
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