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緒言
1952年Simpson and Taitが副腎エキスより,電解質代謝に極めて鋭敏な新しい鉱質コルチコイドを分離し,引きつづき他の協力者とともにその結晶化に成功して,アルドステロンAldosteroneと命名して以来,これに関する知見は急速に進歩し,本邦に於ても斎藤(1956)が詳細に紹介している。臨床的にはネフローゼ症候群,心不全,腹水を伴う肝硬変等の患者の尿中に二次的にAldosteroneの増加することが知られており,一方1955年に至つてミシガン大学のJ. W. Connが,副腎皮質の腺腫からのAldosterone分泌が亢つた結果電解質,特にNa及びKの代謝障碍に基く特異な徴候(低カリウム血症,高ナトリウム血症,アルカロージス,多尿,間歇性テタニー,筋力喪失及び高血圧症等)を呈した症例を見出し,副腎が一次的原因となつているアルドステロン過剩症をprimary aldosteronismと命名し,新しい独立疾患とした。1956年のJ. W. Conn,記載によるとprimary aldosteronismと思われるものは,彼の第1例以来少くとも30例はあり,このうち10例は手術的に副腎皮質腺腫が発見され,1例は副腎皮質肥大,3例は剖検によつて副腎皮質腺腫が認められたといわれている。併し我々が原著によつて確認出来たのはConn(1955);Maderand Iseri(1955);Chalmers et al.(1956);Craneet al.(1956);Evans and Milne(1954),Campbell et al.(1956)の副腎皮質腺腫例事van Buchem et al.(1956)の副腎皮質肥大例,Foye andFeichtmeir(1955)の副腎皮質癌の症例等に過ぎない。
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