Japanese
English
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皮膚科領域におけるChymar軟膏の使用経験
DERMATOLOGICAL APPLICATION OF CHYMAR OINTMENT
花川 寛
1
,
福原 健佐
1
,
洙田 明男
1
Yutaka HANAKAWA
1
,
Kensuke FUKUHARA
1
,
Akio NAMEDA
1
1徳島大学医学部皮膚科学教室
1Department of Dermatology, School of Medicine,Tokushima University
pp.927-929
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203886
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I.はじめに
蛋白分解酵素にかんする研究の最近の発展は誠にめざましいものがある。その臨床的応用は古くからTrypsinが用いられ,専ら壊死病巣の清浄化を期待するものであつたが,最近は抗フィブリノリジン(抗プラスミン)としてアレルギー性皮膚疾患に対する応用が開拓され,優れた成績がえられている。
Trypsinと同様,蛋白分解酵素であるキモトリプシンはα,β,γ,πの4種が存在するが,この中でα—キモトリプシンは最も生化学的,薬理学的に活性が強く,かつ安定しているといわれ,その生化学的作用は,エンドペプチダーゼ作用のみならず,C-O結合,水素酸のC-N—R結合,C—C結合,合成アシドのC-N結合を分解する作用があり,このことは蛋白質,脂質,糖蛋白,ムチンなどを分解することを示している。上記の如き酵素作用に着目し,α—キモトリプシンの抗浮腫作用,抗炎症作用が広く臨床的に利用されて来た。しかし本剤の投与方法は主として注射による方法が用いられたが,われわれは最近プロテアーゼであるα—キモトリプシン,トリプシンに塩酸ハイドロコータメート,パルミチン酸フラジオマイシンを加えた軟膏外用剤(Chymar軟膏)を2,3の皮膚疾患に使用する機会をえたのでその臨床成績を簡単に報告する。使用膏剤の1g中の有効成分は次の如くである。
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