Japanese
English
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Chymotripsin(キモプシン—Kimopsin)の皮膚形成外科における応用
USE OF CHYMOTRIPSIN IN PLASTIC SURGERY
野原 望
1
,
月野木 清徳
1
Nozomi NOHARA
1
,
Kiyonori TSUKINOKI
1
1岡山大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology, Okayama University Medical School
pp.921-925
発行日 1964年9月1日
Published Date 1964/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203885
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I.はじめに
近年における酵素化学の進歩は,種々の先天的,後天的代謝異常症の病態生理の闡明に貢献し,また多方面に亘る臨床生化学的検査に応用されて,いろいろの疾病に対する診断的根拠を提供し,そのため近代の診断学にとつては,酵素化学的知識はもはや不可欠の要素となつてきた観があるが,それと同時に,一方これら酵素の治療的応用面も近時非常に進歩かつ旺んになつてきた。既にペプシンやジアスターゼなどの消化酵素が,種々の胃腸疾患に対していわゆる補充療法として広く利用されてきたことはよく知られているところであるが,これらの消化酵素剤においても,従来のように制酸剤の配合を必要としない,すなわち食後の胃内容のpH3〜5で十分奏効するような新酵素剤が相次いで現われてきた。また外科的酵素剤としては古くよりトリプシンなどが病巣局所の壊死組織の除去,すなわち創面浄化剤として利用されてきたことも周知の通りであり,その後もストレプトキナーゼ,ストレプトドルナーゼなどが現われたが,これらは何れも病巣局所に外用されるもので使用範囲に制限があり,全身的応用に十分堪えられるものではなかつた。ところが最近登場してきたキモトリプシン(キモプシンエーザイ)は,同じ蛋白分解酵素といつても,前記の諸酵素と異つて,全身的投与により極めて顕著な抗炎症効果をもたらすいわば画期的な消炎酵素剤である。
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