文献紹介
色素性乾皮症の治療,他
pp.549
発行日 1964年6月1日
Published Date 1964/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203795
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本症に感光製剤は禁忌であり,その製剤にはラルガクチル,フェネルガン,スルフォンアミド,パス,グリセオフルビンその他がある。光線保護剤として局所には抗光線剤であるサリチル酸メチルのクリームを使う。ベンゾフヱノンの如き紫外線吸収剤のクリームもよい。全身的にはレゾルシン,ビタミンPP,クロロキン類を与える。後者を特に推奨する人もあるが,著者は顕著な効果を見なかつた。本症に屡々合併する感染には抗生物質を投与する。コルチコステロイドで軽快したという報告があるが,著者の多数例における実験では抗炎症作用は認めたが,決定的な結果は得なかつた。本症にソラレン類を用いた報告がある。本剤特に8—methoxypsoralenは使用初めには光線感受性に働くが,のちに光線保護性となる。この薬剤はHopkinsによって紫外線による皮膚癌の予防に対して賞揚されているが,Urbachはこれを否定しているので,本剤を色素性乾皮症に応用するには慎重を要する。最近P32が変性に対して予防的効果があると指摘された。これを照射した皮膚には白斑を生ずるが,変性を示さないのが特徴である。病理組織学的には皮膚の構成には変化を認めず,メラニン細胞の消失のみを生ずる。この放射線同位原素を色素性乾皮症に適用した結果は,羞明と結膜炎の軽快,落屑と疣状化の消失を見たが,疣状巣の再発を9カ月後に認めた。
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