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はじめに
色素性乾皮症(xeroderma pigmentosum,以下XPと略記することがある)は一つの疾患であるが,現在までに遺伝的に異なる10群が知られている。神経症状は患者の一部にみられるが,遺伝的な群によってみられる群とみられない群があり,神経症状の発症が遺伝によることを示している。
神経症状を示すXP患者の皮膚症状は,太陽光中の紫外線によって悪化するので,太陽光に皮膚がさらされるのを減らせば,皮膚症状は比較的軽微なままに保つことができる。しかしそのような患者でも,神経症状の進行は,皮膚症状の重い患者と同様にみられることが多くの例で確認されている。このことも,神経症状が遺伝によって生じているのであり,皮膚症状の進行すなわち太陽光中の紫外線の影響とは無関係と考えられることを示している。それでは,どのような遺伝的原因によるのか,という点については,最近ようやく解明が進みつつあり,本稿はそれを論ずることをめざす。
Genetic heterogeneity has been known to exist in xeroderma pigmentosum. Nine complementation groups and a variant type have been identified by cell hybridization and DNA repair tests. Patients belonging to five complementation groups, A, D, G, H and I, are generally associated with neurolo-gical abnormalities, such as mental retardation, hearing difficulty, gait disturbance, etc. No clear cause has been discovered for these neurological abnormalities.
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