Japanese
English
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虫体を取り出し得た皮膚顎口虫症の1例
A WORM CATCHED CASE OF GNATHOSTOMIASIS.
井沢 洋平
1
,
上田 宏
1
,
大橋 勝
1
Yohei IZAWA
1
,
Hiroshi UEDA
1
,
Masaru OHASHI
1
1名古屋大学医学部皮膚科教室
1Dept. of Dermatology, School of Medicine, Nagoya Univ.
pp.227-230
発行日 1962年3月1日
Published Date 1962/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203240
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I.緒言
皮膚顎口虫症は昔からタイのツアチッド,ビルマのラングーン腫,中国の長江浮腫等と呼ばれ,特異の地方病として有名であつたが,本症が顎口虫の寄生に起因しており,わが国にもかなり以前より存在していたこと,並びにアジアの熱帯にかけて広く分布している寄生虫病であることが明らかとなつたのは近年のことである。
わが国で人体より明らかな顎口虫を証明した報告は,1921年,田村1)の例を以つて嚆矢とする。その後も数例の症例追加があるが,一般的には,多くの患者はクインケの浮腫として見逃され注意されるにいたらなかつた。しかし,戦後外地で罹患した患者が多数引揚げ,復員し,一方近年国内に繁殖した雷魚の生食等により,国内にも多数の患者が発生し,ようやく注目されるにいたつた。近年食糧事情の好転と共に本症の報告例も減少したとはいえ,長江浮腫様の皮膚腫張を生ずる疾患は我々の身近に見る疾患の一つである。
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