Japanese
English
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皮膚顎口虫症の1例
A CASE OF GNATHOSTOMIASIS CUTIS
森田 清司
1
,
吉川 康史
1
Kiyoshi MORITA
1
,
Yasushi YOSHIKAWA
1
1名鉄病院皮膚科泌尿器科
1Department of Dermato-urotogy, Nagoya Railway Hospital
pp.347-351
発行日 1959年4月1日
Published Date 1959/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202523
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緒論
皮膚顎口虫症は昭和22年(1945)駒屋,北村等1)2)により長江浮腫の患部皮膚組織内に有棘顎口虫Gnathostoma spinigerum Owen,1836,の仔虫が発見され,且つ又上海市販の鱈魚Ophi-cephalus argus Cantor其の他の淡水魚に同じ仔虫の寄生が証明され,華中の日本人が屡々罹患した所謂長江浮腫は即ち皮膚顎口虫症なることが判明した。然るに本邦に於ても,第二次大戦終結と共に,中華及び南方の各地で罹患した者の帰還によつて,これら外地性顎口虫症が内地に持込まれた一方,近年国内に旺んに一繁殖した鱈魚を生食する結果,これに寄生する有棘顎口虫に感染発病するものが現われ,佐賀並びに福岡県下に鱈魚生食後長江浮腫様症状を生じた事例が集団的に発生し,その地の鱈魚に有棘顎口虫仔虫の寄生する事実が楊3),次いで操,服部4)によつて報告され,その後,川井5)は関東地方産鱈魚の生食後,長江浮腫様症状を呈した患者の患部皮膚組織に有棘顎口虫仔虫を証明するに及んで,本症は新に国内疾患として意味を持つ様になつた。
而して,北村等は関東地方の潮沼の鱈魚約30匹を検索したが,有棘顎口虫仔虫の寄生は証明されず,内地産鱈魚の感染は絶無でなくても極めて稀薄と思われたが,最近上野6)は東大皮膚科教室の5年間に於ける顎口虫症38例中13例が内地性のものであり,内地産鱈魚にもその危険性あることを教えた。
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