Japanese
English
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円形脱毛症における精神身体医学を中心とした観察
THE PSYCHOSOMATIC OBSERVATION ON ALOPECIA AREATA
神田 嘉弘
1
Yoshihiro KANDA
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科学教室
1Dept. of Dermatology. Jikei University School of Medicine
pp.219-224
発行日 1962年3月1日
Published Date 1962/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203239
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I.緒言
円形脱毛症の原因に関しては現在迄,神経説,伝染説,病巣感染説,栄養神経障害説,栄養障害説,内分泌障害説等多くのものが発表されているが,まだ十分解明の段階には到達していない。わが教室においても本症について数年来多角的に研究した結果,土肥教授が第24回東日本皮膚科学会連合地方会で講演した如く,悪性型の病巣部に炎症性,またはアレルギー様の変化を認めている。今回はこの研究の一部として行つた精神身体医学的観察を中心として述べる。
本症における精神的因子の地位は2・3の皮膚疾患と同様に重要視され,多数の人がその成因に心理的因子が関係すると報告している。また戦前に比較して戦後に本症が増加の傾向を有するのは社会情勢の複雑化が個人生活を圧迫し,心身消耗をもたらして感情の被刺激性を亢進させるためとも考察される。一方急性湿疹,神経皮膚炎,皮膚掻痒症等の患者で薬物療法に抵抗し,難治なものに精神療法を施行すると,症状の改善を見るのはしばしば経験する所である。以上の点に興味を抱き外来を訪れた本症患者を多角的に観察試験した結果を報告する。
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