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海外トピックス
pp.821-822
発行日 1960年9月1日
Published Date 1960/9/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202904
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MethylcholanthreneによるKeratoacan-thomaの発生病理
実験的に兎やマウス及びハムスターなどの哺乳動物に人体で見られるKeratoacanthomaに酷似した腫瘍を作つた例はGhadiallyなどによつて報告されて居り,この場合は9,10-dimethyl-1,2-benzanthraceneを局所に用いている。R.H.Ringdonは同じ癌原性物質のMethylthoianthreneを用いて鶏の皮膚に発生したKeratoacanthomaの組織像を検索し哺乳動物とやや違つた発生論理を示す興味ある点を指摘している。Me-thylcholanthreneは普通0.25%のものを用いるがこの実験では鶏の雛の胸部に1%溶液の0.5ccを同じ場所に最初と2日,7日,9日,12日目の5回使用し,実験開始後38日目に切除しH.E染色で検索している。少し幼若のものならば2回の使用で扁平上皮腫様の腫瘍を生ぜしむることも出来た。小さな病巣は灰白色に僅かに皮面より隆起しているが潰瘍を作らず,大きな病巣は限局し潰瘍化している。かくして連続切片を組織学的に詳しく調べると,表皮の基底細胞から生じた腫瘍であつてこれは真皮の方に増殖し浸潤してゆく傾向があり,この傾向の大である部分の表皮は噴火口様の潰瘍となつている。潰瘍はチラチン様物質で充たされている。
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