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海外トピックス
pp.442-443
発行日 1953年7月1日
Published Date 1953/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201012
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女性ホルモンによる腎腫瘍の形成
Hadley Kirman and R.L.Bacon(1952)は雄のgol-den ham ter(大鼠の一種)を使用して,女性ホルモンの連續投與によつて腎腫瘍を形成する事に成行した。即ち,彼等は正常の雄golden hamsterにdiethylstil-bestrol(胡麻油に溶解し或は食鹽水浮游液とした0.6mgを隔日に皮下注射或はpelletの皮下移植)を連續投與した所,150日以下のもの12匹では腫瘍の發生を見なかつたのに,150〜199日のものでは10匹中1匹に,200〜249日のものでは9匹中6匹に腎腫瘍の發生を見た。しかも6匹の中1匹では轉移を伴つていた。250日或はそれ以上の長期間投與したものでは100匹の中97匹迄腎腫瘍を發生し,中44例,即ち45%に轉移を件つていた。腫瘍細胞は淋巴性及び血行性に轉移し得る性質はあるが,實際に轉移は腹腔外には擴つていなかつた。除睾術を施してから同樣に248日から415日に互つて處置したものでは18例全部に腎腫瘍が發生し,中3匹(17%)に轉移があつた。
Stilbestrolを投與したが腫瘍の發生を見なかつた腎の重量は對照と異る所はなかつたが,腎腫瘍を發生したものの腎重量は,除睾術の有無に拘らず,對照より増していた。この増加の傾向は轉移のあつたものでは一層著明であつた。
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