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海外トピックス
pp.837-838
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201816
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反射性無尿と塩酸パパベリン
或る種の反射性無尿は,腎血管系の攣縮によるものと考えられている。従つて,この攣縮を除去すれば,無尿状態の改善に役立つと考えられる。Johnstone et al.(1956)は次の如き実験から,塩酸パパベリンが腎血管系の攣縮除去に著効があることを見出した。即ち,麻酔下に剔除した兎の腎臓を,人工心肺に連結し,腎の還流を行つて,その流血量をしらべると,全血の場合は血漿で還流した時より遙に少い。これは腎剔及び人工心肺に蓮結という操作のため,腎血管系にに攣縮を起し,血液の有形成分が自由に通過餌来ない程細くなるためである。この際,塩酸パパベリンを全血に加えると,流血量の著明な増加が見られる。第1表はこの実験成績の総括である。この事実は人間の腎臓でも確かめられた。この実験結果からJohnstone et al.は反射性無尿の治療として,塩酸パパベリンを11人の患者に投与したところ,10人は投与直後から著明な尿量の増加が見られた。無効な1例は,剖検により腎全体に炎症性細胞の浸潤があり,多数の化膿性病巣があつたもので,この合併症のため無効であつたと考えられる。塩酸パパベリンが有効であつたが,死亡した3例は,投薬時には頻死の状態であつた症例で,この剖検所見でnephrOsisの所見はなく,塩酸パパベリンが効果的であつたことを示めしていた。
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