Japanese
English
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リンパ性白血病に合併した汎発性猩紅色菌症の1例
GENERALIZED TRICHOPHYION-RUBRUM INFECTION ASSOCIATED WITH LYMPHATIC LEUKEMIA
田代 正昭
1
,
榊 明敏
1
,
島田 勝彦
1
Masaaki TASHIRO
1
,
Akitoshi SAKAKI
1
,
Katsuhiko SHIMADA
1
1鹿児島大学医学部皮膚泌尿器科教室
1Department of Dermatology and Urology, Faculty of Medicine, Kagoshima University
pp.65-71
発行日 1965年1月1日
Published Date 1965/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491203992
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I.はしがき
感染症は宿主と寄生体との相互関係すなわちHost & parasite relationshipという観点から理解されねばならない。真菌症の発生要因もまたこの見地から考察されなければならないことは申すまでもないが,単にHost & parasite relationshipといつても,Host側にも,Parasite側にも多数の因子の組み合わせがあるので,極めて複雑な様相を呈している。現在真菌症発症の宿主側の要因の1つとして,個体の抵抗力減弱,生体防禦力低下があげられている。個体の抵抗力減弱,防禦力低下をきたす場合としては,先ず重篤な消耗性疾患があり,従来血液疾患,悪性腫瘍,敗血症,糖尿病,結核,麻薬中毒などに真菌症の発症を見ることが報告されている。また抗生物質の長期投与が真菌症の誘発,増悪をきたし,あるいは菌交代症を惹起する。最近では副腎皮質ホルモンと真菌感染の問題が種々論議され,副腎皮質ホルモン投与による生体防禦力低下は真菌症発症の要因となり,さらにはクツシング症候群に真菌症を併発した報告も多い。またVB群代謝障害,その他の要因についても種々報告されている。われわれも最近汎発性猩紅色菌症の1例を経験し,その剖検所見において,リンパ性白血病に併発したものであることを確めたので報告する。
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