Japanese
English
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皮膚科外来患者を通してみた所謂温泉療法について
SO CALLED HOT-SPRING CURE SEEN IN PAST HISTORY OF DERMATOLOGICAL PATIENTS
島 多門
1
,
細井 儀三郎
1
,
伊藤 勇
1
T. SHIMA
1
,
G. HOSOI
1
,
I. ITO
1
1弘前大学医学部皮泌科教室
1Dermato-Urological Department of Hirosaki University
pp.577-582
発行日 1959年6月1日
Published Date 1959/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202570
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まえがき
所謂湯治と称する温泉療法が皮膚疾患を却つて増悪したり,湯かぶれと称する急性の皮膚炎を起すことは日常の診療で屡々経験される事である。その原因としては選択した温泉の泉質や入浴方式の不適当である場合も多いが,より根本的には原疾患が温泉浴そのものの禁忌と考えられる場合である。巷間経験的乃至半ば信仰的に「皮膚病には温泉浴がよい」とする者は必ずしも勘くなく,殊に僻陬の地や温泉湧出の豊かな地方ではこの傾向が強い。これは,当地方に於て我々が外来診療の問診間に屡々痛感される事である。そこで我々は当科に於ける各種皮膚疾患患者について既往に於ける温泉療法の実態を窺うため以下述べるような検討を試みた。
なお皮膚疾患に対する温泉療法については既に九大温研を中心とする報告(樋口ほか,間野。波多野,中溝ほか伊藤(嘉)など),及び東北大鳴子温研に於ける報告(伊藤,八木,阿部・浜田など)があり,多数の温泉療養患者について仔細に観察し亦温泉水などに対する実験的データに基づいて各種の温泉浴の皮膚疾患に対する功罪とくに適応に関して縷説している。これに対し我々の調査では主として患者の供述乃至外来時所見に基づいて既往に於ける温泉浴の原疾患への影響を検討したにとどまる。
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