Japanese
English
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尋常痤瘡におけるジオール錠の使用経験
CLINICAL RESULTS OF "DIOL" IN THE TREATMENT OF ACNE VULGARIS
利谷 昭治
1
Shoji TOSHITANI
1
1九州大学医学部皮膚科教室
1Department of Dermatology Kyushu University. School of Medicine
pp.353-356
発行日 1959年4月1日
Published Date 1959/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202524
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はしがき
日常臨床において尋常痤瘡は極めてありふれた疾患で,思春期の男女においてはむしろ生理的とさえ考えられていて治療もせずに放置されることも多い。実際本症の治療は比較的容易な場合もあるが,往々にして手を焼くことがあり,後になつて,いわゆる痤瘡瘢痕を遺してそのために,生涯醜形に悩まされる例も少くない。本症の原因については,性ホルモンのアンバランスによる毛包皮脂腺系の失調を第一次因子として,これに細菌感染その他多くの因子が加つて成立するものであると考えられているが,しかしながら,これのみでは説明しえないような症例もあり,いまだ,本症の原因は完全に究められているとはいえない現状である。
最近,Endokrine Allergyという概念から,外陰掻痒症や月経前障害などがホルモン性アレルギーによるものと考えられ,月経時に増悪する一般のアレルギー症も同様にみなされ,Heckelのステロイドホルモン,その代謝物質とくにプレグナンジオールの少量投与による脱感作療法が注目され,尾島氏らは,この方面の研究において,尋常痤瘡が本療法によつて著しく効果のあることを示唆し,実際に,尋常痤瘡のあるものは,ホルモン性アレルギーによるものと考えられるものもあり,この方面から治療による尋常痤瘡の原因考察も極めて有用なものであろう。
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