Japanese
English
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泌尿器科領域におけるエンピナースの治験
TREATMENT BY EMPYNASE IN UROLOGICAL FIELD
難波 克一
1
,
渋谷 貢一
1
Katsuichi NAMBA
1
,
Koichi SHIBUYA
1
1高知県立中央病院
1Kochi Prefectural Central Hospital
pp.1331-1334
発行日 1965年12月1日
Published Date 1965/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491204256
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I.はじめに
抗生物質を始めとした化学療法剤の進歩はかなり広範囲にわたり,各疾患の治療及び予防に偉大な効果をあげて来た。それと同時に各種酵素による抗炎症作用はTillet1),Macforland2)等により,1949年頃よりしだいに解明され,臨床的に応用され,抗生物質との併用により,かなり幅広く利用されて来た。Astrup3)によればFibrinはPeptide結合(Co-NH—)を加水分解し,Po—lypeptide或いは可溶性の蛋白質に分解すると述べているが,これら蛋白分解酵素がFibrinを溶解し,Peptide産出を阻止し,炎症を消腿せしめるとされている。生体内に侵襲が加われば,これに対して種々防禦反応が起り,下垂体及び副腎皮質とともに,これら蛋白分解酵素が防禦反応に関与していることは周知の通りであるが,各酵素が独特固有な基質特異性に応じてFibrin及びFibr—inogenを分解し,Peptide結合を分解,蛋白分子を切断することにより,生体の代謝に好影響を与えるものと考えられるが,未だその生理的作用は十分に解明されていない段階である。いずれにせよ,これら酵素が炎症及び浮腫等により生ずるFibrin及びPeptideに関係あるPolypeptideの分解作用,又はムコ蛋白類を分解により,傷損部の滲出物,凝固物を溶解し,創傷及び炎症に好影響を与えることは既に数多くの報告を認めている。我々は新しくsireptomyces griseusの培養地から生産した蛋白分解酵素プロナーゼにパンクレアチンを附加し,生体内反応をより強力にしたエンピナースを10数例に使用したので報告する。
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