Japanese
English
--------------------
情動因子をもつ皮膚疾患に対するChlorpromazine(Wintermin)の使用経験
EFFECTS OF CHLORPROMAZINE (WINTERMIN) ON SKIN DISEASES WITH EMOTIONAL FACTORS
谷村 保夫
1
,
藤木 常人
1
Yasuo Tanimura
1
,
Tsuneto Fujiki
1
1大阪市立城北市民病院皮膚科
1Department of Dermatology, Osaka Municipal Shirokita Hospital
pp.625-629
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202284
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
まえがき
古代ギリシヤの医学をひもとく時,西暦紀元前数百年もの昔に,かゝる偉大なる医学の存在したことを驚歎すると共に,AristotelesとPlatonの心身に関する考えに注目するであろう。前者は身体は有機体で,魂はそれを動かす働き,或は機能であるとしたのに対し,後者は身体は他の物質と同じく幾何学的,機械的存在であり,精神は身体とは全く別種な非物質的な観念であるとした。彼等の考えは具体的医学的というよりは,思弁的,哲学的であつたが,現在医学の基礎として,二つの道をたどつて歴史的に発展していつた。その後,文化はローマにうつり,精神は神的な性格のものとなり,身体は単に物質的なものとして,魂に対立する悪魔的性格とする宗教的な思想が行われ,医学も中世の暗黒時代にまきこまれたが,ルネツサンスにいたり,再びギリシヤの文明が再生し活気を取り戻すことが出来た。かくしてDescartesに於いて人間を精神と身体との両面に分離して考える二元論が確定されたかの如き感がある。その後顕微鏡の発達に伴つて病理解剖学は急速に進歩し,疾病の原因を器質的変化のみに求めようとする傾向が益々強まり,精神的な要因は一層軽んじられてきた。しかし第一次および第二次の世界大戦に於ける数多くの経験より,精神的因子が身体疾患の発症,症状および経過に密接な関係のあることが分り,こゝに再び精神と身体との相関々係の重要性が認識されるようになつた。
Copyright © 1958, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.