Japanese
English
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皮膚疾患の情動因子に対するMeprobameteの使用経験
EFFECT OF MEPROBAMETE ON EMOTIONAL FACTORS IN SKIN DISEASE
谷村 保夫
1
,
藤木 常人
1
Yasuo Tanimura
1
,
Tuneto Fujiki
1
1大阪市城北市民病院皮膚科泌尿器科
1Dept. of Dermatology,Osaka Municipal Schirokita Hospital
pp.313-315
発行日 1958年3月1日
Published Date 1958/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202220
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まえがき
人間の精神の存在を,唯物論者Karl Vogt1)は否定している,即ち彼は「私は屍体を隅から隅まで解剖したが,精神はどこにも証明することが出来なかつた。」と言つている。しかし彼は屍体について観察したのである。我々が生きている人間を見る時,その活動力の偉大さに驚歎すると共に,その原動力の存在を否定出来ない。そして,また,その原動力が生理的のもの以上であることをも否定することは出来ない。それは何か。Aristotelesは西歴紀元前3百年もの古に於て,すでに,かかる考より,精神の存在を確定したのである。しかしAristotelesのこの身体は有機体であり,魂がこれを動かす力であるという考えは多分に思弁的哲学的のものが含まれていた。
現在に於ては,常識ある人は,精神の存在を疑わない。我々,患者に接している者にとつては疾患に精神的因子がいかに関係しているかということを度々体験させられる。しかし精神は実際に眼でみ,手でふれることが出来ない為に,その方面の研究は,たゞ概念的なものに過ぎないとされていたが,最近に於ける脳の生理学および病理学の進歩は,これを科学的に証明する幾多の根拠を提供しつつある。またかの有名なSelye2)のストレス学説も,ストレスを広義に用いる時は,精神的因子をその中に含めることが出来る(Wolff3))。
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