Japanese
English
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肝障碍を伴つた二,三皮膚疾患に対するグリチールリチン剤の効果
GLYCYRRHIZINE IN THE TREATMENT OF SOME SKIN DISEASES WITH LIVER DISTURBANCE
山形 志乃武
1
,
浪方 晃長
1
Shinobu Yamagata
1
,
Akinaga Namikata
1
1京都府立医科大学皮膚科泌尿器科教室
1Department of Dermato-urology, Kyoto Pref. Med. University Kyoto
pp.621-622
発行日 1958年6月1日
Published Date 1958/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202283
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- Abstract 文献概要
皮膚と肝機能との関係に就ては既に古くから多くの臨床的並びに実験的検索がなされて来,この際Urbachの云える如く肝障碍が一次のこともあり,又皮慮病変が一次的のこともあり,更にその何れが一次的か分らない両者併存の三者が考えられるが,その何れであるかは暫く措き,肝疵護が皮膚病変を改善に導くことは明らかな事実であり,このため近時メチオニン,コリン,グロン酸等が皮膚科領域に広く用いられる様になつて来た。さてグリチールリチンは稀酸による加水分解によつて2分子のグルクロン酸とグリチールレチンに分解されると云われ,その解毒作用に就ては市川1)はヂフテリア毒素,三好2)はテトロドトキシンに対する効果を認め,その作用機転として,1)グリチールリチンの水解によつて生じた発生機のグルクロン酸の毒素抱合,2)上記発生機のグルクロン酸が肝を刺戟し同類のグルクロン酸の生産を高めること,3)背後にあるグルチールレチンの大きな分子に毒物が吸着される,等を挙げている。又一方グリチールリチンのDocA作用或は抗アレルギー作用を認めている人もある。
何れにせよグリチールリチンに解毒作用のある事は確かであり,その意味で肝庇護剤であると共に,皮膚疾患治療薬として用いて可なるものと考えられる。既に出村3),矢村4),安田5)等は中毒性皮膚疾患,各種湿疹等に本剤を使用し良野な成績を収めている。
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