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海外トピツクス
pp.750-751
発行日 1957年8月1日
Published Date 1957/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202038
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根治的腎盤内外科手術の際の尿管損傷の実験的研究
骨盤内臓器に対する外科的根治手術の際に,最も大切な事は尿管に損傷を加えない事で,殊に子宮癌に対する根治手術の際に最も多く見られる合併症として尿管腟瘻がある。この様な尿管瘻の発生原因としては尿管の損傷口尿管への血液供給の障碍等が挙げられている。Masterson(1957)は尿管に対する血液供給の障碍,損傷,感梁,レ線照射及び之等を2つ以上組合せたものゝ内で,どれが尿管膣瘻を作る要因であるかを明らかにする為に,犬について次の実験を行つた。即ち第1群として両側尿管を剥離し血液の供給を断つたもの,第2群として両側尿管に損傷を加えつつ剥離し,更に血液の供給を断つたもの,第3群として両側尿管を剥離し血液の供給を断つた後,一側尿管にポリエチレン管を挿入しておいたもの,第4群として第1群と同様の操作を行つたものにB. proteus,E. coli及びA. aerogenes等による尿路感染を起させたもの,第5群として手術的操作を行う前に,予め骨盤腔内に3,267〜3,815γを照射しておいて,その後前述の第1群から第4群迄に行つた手術的操作を加えたもの等を作り,夫々経過を観察した。その成績を見ると,第1,2及び3群では全例に尿管腔瘻を発生せしめる事が出来なかつた。併し第4群中のA. aerogenesを感染せしめた1例,第5群の内2例に夫々尿管腟瘻を発生せしめる事が出来た。
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