特集 皮膚泌尿器科領域の腫瘍
白血病性皮膚病変
山碕 順
1
,
清寺 真
1
1群馬大学
pp.885-897
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201822
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緒言
白血病は皮膚科に於て取り扱う疾患ではないから,皮膚科医には特に深く研究する機会も興味も余りないのは無理もない。たとえ以下記載するように白血病の僅かの例に於て皮膚に明かにこれを原因とする病変を発生するとはいえ,その予後及び治療は結局全身病としての白血病に存するのであるから,謂わば皮膚科領域に於ては時として皮膚にも及ぶ種々の病変を単に形態学的乃至組織学的に眺めるに過ぎない状況であり,対症的に皮膚症状のみを一時的に軽快せしめても大した意味を持たないことになる。しかし稀ならず白血病性皮膚病変を主訴として皮膚科医を訪れて初めて原病を疑われ,又それに注目されて,それが白血病発見の端緒となることがあるから,実地上にも白血病性皮膚病変の概念を有することが必要である。
周知の如く,白血病の本態は今日もなお明かにされていないが腫瘍説(Bart,Ribbert,Banti,Fraenkel,Piney,緒方,Helly,Ewing,Apitz,渡辺,天野等)は最も普遍的なものと見做される。即ち造血系統乃至淋巴細網系統の悪性腫瘍で,血中に現われる異型の白血球を腫瘍細胞と見做す考え方である。白血病の種類については古くから淋巴性と骨髄性に大別するEhrlichの2元論に加うるに,近年では所謂単球白血病の存在を無視するわけにはいかない。
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