特集 皮膚泌尿器科領域の腫瘍
皮膚細網症
北村 包彦
1
,
川田 陽弘
2
1東京大学医学部皮膚科
2東京大学医学部皮膚科教室
pp.875-883
発行日 1956年12月1日
Published Date 1956/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201821
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皮膚細網症の定義なり解釈なりには当然一般病理学に於ける細網系統の知識が基礎となるとして,Aschoffの細網内皮系の設定以降,今日,例えば本邦に於ける赤崎1)の論説に至るまで,との系統の内容,その組織学的要素としての細胞種類,分類には多くの意見があるが,それの一々には触れず,凡そ細網系統の一部としての血管外膜細胞に各腫血液細胞,結合組織細胞を生ずる性能のあることは既に古くMarchand2)の主張したところで,次いでMaximow3)亦主として血管周囲には貪喰能を示さない組織球性細胞が存在するとし,之を未分化間葉細胞と呼び,各種の血液細胞を生ずる能力ありとした。今日細網症と呼ばれるもの製発生を病理組織学的に検討する者は多かれ少かれこのMaximowの未分化間葉細胞の潜在性多分化能説の上に立つとしてよい。そして形態学的事実としてはこの細胞乃至それから分化する細胞と嗜銀線維との密接な関係が指摘され,今日細網内皮系の病理形態学は上記未分化間葉細胞の潜在性多分化能説と,嗜銀線維の問題と,斯種細胞の貪喰能と,この3つを足場にして発展して来ていると云える。
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