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瘙痒性皮膚疾患に対するクロルプロマジンの応用
山碕 順
1
,
鈴木 達夫
1
,
内田 勉
1
1群馬大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.515-518
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201736
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緒言
フランスのRhône-Poulenc研究所に於けるフエノチアジン核にクロルを導入したクロルプロマジンが合成されたのは1950年で,その翌年外科医Laboritが始めてこれを臨床的に応用し,所謂人工冬眠と呼ばれる麻酔に成功したことはなお耳新しいことである。本剤は強い中枢麻酔作用を有し鎮静的,抗痙攣的,抗嘔吐的,抗疼痛的に作用するので,これらの多くの薬理作用は各科に於ける広い臨床的応用を展開するにいたつた。皮膚科領域に於ては当然,瘙痒性皮膚疾患への応用に着目されるであろう。事実フランスでは既に1953年ににPelleratが神経皮膚炎や湿疹等に,Delay,Deni-ker及びTardieuは皮膚瘙痒症に夫々その有効なりしことを報じ,また1955年にはTilley及びBarryの難治の神経皮膚炎の奏効例についての記載に接した。
われわれも2,3の瘙痒性皮膚疾患に応用した成績を昨秋の日本皮膚科学会第19回東,第6回中部連合地方会に於て発表する所があつたが,その折東京逓信病院,京都大学等からも同様の発表があり,なお2,3家からも注目される追加発言があつた。一先ず茲にわれわれの経験例の概略と本剤の皮膚機能等に対する影響につき少しく検した所を報告したい。
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