今月の主題 内科医のための他科疾患プライマリ・ケア
皮膚科
瘙痒
三砂 範幸
1
1佐賀医科大学・内科学皮膚科
pp.770-771
発行日 1989年5月10日
Published Date 1989/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222440
- 有料閲覧
- 文献概要
●概説
瘙痒は疼痛の弱い感覚とする考えと,全く別の感覚系のものとする考えがあり,今日なお結論はでていない.いずれにせよ,表皮-真皮境界部に存在する神経終末(瘙痒受容器)で痒みの刺激が感受され,その刺激は脊髄-脊髄視床路-視床-大脳皮質という経路で伝わり,痒み発現に至るとされる1).起痒物質は多数知られているが,ヒスタミンが最も重要である.ヒスタミンは皮膚では肥満細胞の顆粒中に存在する.
皮膚疾患は湿疹・蕁麻疹をはじめ多くのものが瘙痒を伴う.しかし,皮膚病変のない瘙痒もあり,これを皮膚瘙痒症という.ここでは皮膚瘙痒症を扱うが,皮膚を掻破することで生じた二次的皮膚変化を皮膚疾患と混同してはならない.皮膚瘙痒症は一般に中年以降でみられ,限局性瘙痒症と汎発性瘙痒症とがある.
Copyright © 1989, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.