--------------------
尿道狭窄の統計的観察特に病因に就いての検討
池上 奎一
1
,
森郎 洋一
1
,
田上 憲雄
1
1熊本大学医学部皮膚科泌尿器科教室
pp.518-523
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201737
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
従来尿道狭窄はその原因の80%以上が淋疾に帰せられたが,近年に於ける化学乃至抗生物質療法の進歩は淋疾を極めて短期間に,而も容易に全治せしめる結果淋疾患者の数をも著しく減少し,その後遺症たる尿道狭窄の発病も亦当然減少を予想されるに至つた(Rolnick1),楠1)等)。又強力な抗結核化学療法が粘膜の結核病変の短期間での瘢痕治癒を促し,それが管腔臓器の粘膜病変の際は著しい狭窄をもたらすことは尿管結核に於て屡々注目される所であるが(土屋3),大越4)等),同様な事象は尿道に於ても当然考慮さるべきであつて,従来極めて稀有とされた結核病変の後胎症としての尿道狭窄が最近に於ては次第に増加し来たるかの観がある。即ち化学療法の著しい進歩は尿道狭窄の成因にも変遷をもたらしたと思考され,尿道狭窄の成因に就て化学療法普及前及び後を比較,検討してみるは意義あることゝ思われる。本邦に於ける古い統計としては井尻5)(1930),小山・宇佐美6)(1931)等多数の報告があるが,戦後には纒まつたものがないので,我々は最近20年間に当教室外来を訪れた尿道狭窄患者284例の病因,最近5年間の96例に就いては成因以外のことに就ても詳細な観察を行つてみたので,茲に報告する。
Copyright © 1956, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.