Japanese
English
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Glycyrrhizineの瘙痒性皮膚疾患に対する応用
CLINICAL APPLICATION OF GLYCYRRHIZINE FOR ITCHING DERMATOSIS
菊田 正紀
1
,
古屋 堯
1
,
高橋 照男
1
,
神田 嘉弘
1
,
鈴木 哲五郎
1
M. Kikuta
1
,
T. Furuya
1
,
T. Takahasi
1
,
Y. Kanda
1
,
T. Suzuki
1
1東京慈恵会医科大学皮膚科教室
1Department of Dermatology, Jikei Medical School, Tokyo.
pp.527-531
発行日 1958年5月1日
Published Date 1958/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491202266
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緒言
近年glucuron酸が肝機能増強,並に解毒剤として各種の疾患に利用されているが,先に久保木は甘草より抽出したglycyrrhizineはglucuron酸よりも2.4〜3倍以上も強い解毒効果を有する事を報告したが,其の解毒効果の由つて来る所は生体内に於て加水分解の結果生じた発生機のglucuron酸が強力な解毒効果を発揮するのか,或はglycyrrhizine其のものが有効であるのかは未だ解明されていない。更にglycyrrhizineに関し興味ある点はSteroidhormon様の作用を有する事である。此の作用の本態に関し熊谷等は,Corticoidの代謝を抑制,Cirticoidの非活性化を抑制することにより,間接的にCorticoid作用を増強するのであり,しかも此の代謝抑制の機序はCorticoidの代謝系にglycyrrhizineが「拮抗的阻害」をするものであろうと述べている。glycyrrhizineの皮膚科的応用に関しては,すでに出村,矢村,安田中村等に依つて概ね良好な臨床効果が認められているが更に今回我々はglycyrrhizineの興味ある前述の二つの作用に着目し,これを数種の瘙痒性皮膚疾患に応用し,且つglycyrrhizineの二つの作用について臨床検査を実施し,更に血管透過性阻止作用の点に就て動物実験を実施し,概ね満足すべき結果を得たので其の概略を報告する。
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