今月の主題 血清リポ蛋白の異常
リポ蛋白異常と各種疾患
皮膚瘙痒症
小澤 明
1
,
大城戸 宗男
1
Akira Ozawa
1
,
Muneo Ohkido
1
1東海大学医学部・皮膚科
pp.836-837
発行日 1982年5月10日
Published Date 1982/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402217751
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肝,腎,膵をはじめ,多くの疾患に血清リポ蛋白異常が合併する.さらにそれらの疾患群では,皮膚のかゆみ,すなわち皮膚瘙痒症が主徴候の1つとしてよく知られている.しかし,黄色腫を伴う高脂血症患者において,皮膚瘙痒症の頻度がとくに高いという傾向はないので,この瘙痒症の発生機序は疾患ごとに異なっていると推定される.
通常,かゆみの原因あるいは誘因物質としては,ヒスタミン,キニン,ある種の蛋白分解酵素,cowage(熱帯産ハッショウマメ;そのさやの毛で強烈なかゆみを起こし,かゆみ粉とも呼ばれる),プロスタグランディンなどが知られている1).それらの刺激は真皮乳頭部内の神経網で知覚され,遅伝導性C線維により脊髄へ伝達されると考えられている.しかし,内臓疾患の際に現れる皮膚瘙痒症の病態は不明のことが多い.
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