皮膚科図譜・63・64
菌状息肉症/狼瘡様毛瘡
川田 陽弘
1
1東大皮膚科
pp.513-514
発行日 1956年8月1日
Published Date 1956/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201735
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44歳男子。初め13年前左乳嘴を中心に潮紅兼落屑局面を,その1年後右手背手関節部,左上膊内側に,又9年前より右臀部,左大腿伸側,右膝蓋上部に同様局面を生じ,4年前より右臀部の該局面内に小腫瘍が出没し,1年前よりは左下腿,左前臆,最近には右臀部,陰股部の局面内にも指頭大乃至胡桃大の隆起した腫瘍を生じ,その表面一部崩壊し潰瘍化した。第1図に見るように臨床的にに局面性類乾癬を想わしめるが,局面はかなり浸潤している。軽微な掻痒あり,好酸球値2%。血清蟹白,A/G比,高田反応正常。Thorn試験−72%。第2図は潮紅落屑性浸潤局面で,真皮乳頭層,同下層に帯状瀰漫性の細胞浸潤あり,真皮の深層から皮下脂肪組織まで波及,淋巴球様,細綱様細胞を主体とし,これに好酸球,形質細胞を相当数混じ,殊に浸潤の周辺に多い。又息肉症細胞を疑わしめる大形細胞を散見する。第3図は腫瘍で,真皮乳頭層,同下層から真皮深層へかけ息肉症細胞及び淋巴球様細胞,好酸球が密に増殖している。第2図の細胞増殖に比し,より単一性,blastomatösな像を示す。核分裂所々に,表皮索は細長く延長。
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