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特集 精神薬理
クロルプロマジンの作用機構
A Neural Mechanism of the Effects of Chlorpromazine on Anxiety Reduction in Cats
中尾 弘之
1
Hiroyuki Nakao
1
1徳島大学医学部神経精神医学教室
1Dept. of Neuropsychiatry, Tokushima University School of Medicine
pp.683-691
発行日 1961年12月25日
Published Date 1961/12/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431903945
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クロルプロマジン(以下CPと略して書く)の作用は複雑で,精神面のみならず身体面にもいろいろの影響を及ぼすため,各方面について多くの研究がある。私はここでは,動物の行動の実験から,CPの不安抑制作用がどのようにしておこるのか,その機構の一端を考察してみたいと思う。動物の不安は,不安によつておこされる条件行動を通して,具体的に定量的に取り扱われるのであるが,条件回避行動に対するCP影響についての研究は枚挙に暇がない。その大体の結論は,動物の肢に電撃を与えることによつて形成された条件反応で,CPは条件反応のみを阻止し,無条件反応は阻止しないということである。つまり,条件刺激であるブザーに反応していた動物が,CPを与えると,もはや反応しなくなるが,しかし,この時電撃を肢に与えると,よく反応する。このことは,バルビタール剤等が,条件反応と無条件反応をともに抑制してしまうのと,かなりちがつた特質である。しかし,このCPの作用は,CPのみに限つてみられるものではなく,モルフィンやレセルピン等にもみられる。このうち,CPとレセルピン及びモルフィンの作用を比較してみると,LSD−25とNallineに対する拮抗作用が異なり,それ故,条件反応抑制の機構も異なるものと考えられている5,6)。
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