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若年者に現われた黒色肉腫の1例並に本邦文献の統計的觀察
宇田 貞一郎
1
1日本醫科大學皮膚科教室
pp.204-207
発行日 1953年4月1日
Published Date 1953/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200945
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緒言
1806年Laennecが黒色肉腫をMelanoseとして記載してより,これに關する研究は多數報告されているものゝ,黒色素の成因は今なお不明であるため名稱も一定していない。一般にはMelano-sarcom,Melanocarcinom,Melanom等と呼ばれている。その他特殊なものにChromatopho-rom(Ribbert),Melanocystoblastom(Lubar-rch),Melanoblastom(Handi)等がある。
本疾患は稀有なものではないが,好發年齡は中年以後に多く,10歳以下の發生例は本邦において1914〜1941年間に増田氏,大野氏,高橋氏の3例のみで本症發生數の約3%であり,外國文献においてもDieterich(1887)の蒐めた137例中約4%を占めるのみである。私は當教室において,6歳の女子に發生した本症の1例を經驗したので,こゝに症例および文献的考察につき述べてみたいと思う。
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