原著
エチニールテストステロンの臨床的觀察
松本 淸一
1
,
丸山 哲也
1
1愛育研究所母性保健部
pp.147-150
発行日 1953年3月10日
Published Date 1953/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409200801
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黄體ホルモンの臨床應用に關しては既に多數業績が發表され,殊に切迫流早産,妊娠中絶豫防,月經異常,機能性子宮出血等に效果が認められているが,本來の黄體ホたるProgecteronは消化酵素によつて著しく破壞乃至不活性化されるために經口投與ではその作用も發現せず,非經口的に用いる他ない。而し藤井(久)(1941,1942)1)が既に指摘したように,臨床的に黄體ホが最も多く用いられる切迫流早産等の如く同時に治療上安靜を必要とする場合には,經口投與しても黄體ホ作用が發現する物質があれば投與のために一々通院させる要がないので,理想的治療が出來る。Klein & Parkes2)(1937)がTestosteronの17—methyl及び17—aethyl誘導體がProgesteronの約1/20に相當する作用を持つことを發見し,續いてHohlweg & Inhoffen3)(1938)並にRuzi—cka,Hoffmann & Mreldahl4)(1938)が夫々互に無關係にDehydroandrosteronをaethyl化して,經口投與で黄體ホ作用を有するA hydroh—ydroxyprogesteron (Aethinyltestosteron又はPregneninolon)を合成したことは,此の意味で黄體ホ治療に1つの新しい道を開いたものである。
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