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皮膚科領域に於ける強力ミノファゲンCの治驗
吉田 重春
1
,
吉松 孝治
1
1鳥取大學醫學部皮膚科泌尿器科教室
pp.110-112
発行日 1952年3月1日
Published Date 1952/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200685
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まえがき
皮膚科領域で掻痒わ患者のもつとも苦痛とする症状の一つである。これを鎭靜せしめる事は最も有意義で,症状そのものゝ經過も短縮され治癒も早められる。止痒法として色々の方法があげられているが,強力ミノファゲンC注射も亦その意義に叶うものである。尚強力ミノファゲンCはアレルギー性皮膚疾患の代表的治療剤として時代の脚光を沿び,見るべき效果が次々と報告されている即ち蕁麻疹,急性慢性濕疹,小兒ストロフルス皮膚炎,掻痒症,ビダール苔癬,人工性痤瘡等に使用され,谷村教授等は85%,佐藤氏は90%,片岡教授等は100%,三浦氏は82%等の有效を認めている略々6・7回の注射で有效であり,又頑固な症例は大量靜脈注射が效果顯著であると言われる著者の一人,吉松も頑固な中毒性濕疹状接觸型皮膚炎の2例に使用し著效を治め,特に肝臓解毒機能にも好影響を與え治癒を促進せしめた事を報告し,余等はつとに本剤の優秀性を認めていたが其の後症例を重ね,觀察する事が出來たので敢て此處に報告する事にした。
尚本剤の成分をあげれば,グルクロン酸0.2%グリシン2.0%にシステイン0.1%(過早酸化防止のためグルコーシスティンの形になつている)を加えて作用を倍化し,抗アルツス反應性,抗シュワルツマン反應性があり,システインはS-H解毒學説により,グルクロン酸抱合體は體内解毒作用のある事よりアレルギー性疾患のみならず,一般中毒の解毒に有效であると言われる。
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