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強力ミノフアーゲンCの皮膚科領域に於ける効果及びその作用機序
中山 重男
1
,
磯貝 芳行
1
1東京都立駒込病院皮泌科
pp.827-830
発行日 1956年11月1日
Published Date 1956/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491201814
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強力ミノフアーゲンC (以下S,NMCと約す)のアレルギー性疾患に対する有効性については既に多くの報告が発表されており,その抗アレルギー性はつとに認められているが作用機序に於て未だ不明の点が多く諸家の一致した見解を得ていない。尠くとも今日皮膚科領域でアレルギー性疾患に対して用いられる薬剤は十指を屈して剰りあるが,何れも或程度は有効である。此事は所謂アレルギー性疾患の発生機序が極めて複雑であり,多くの発生要因を経て症状なり又は疾患なりの成立を招くといふ事実と共に,それらの地点に作用しても非特異的に疾患又は症状の軽快治癒を来たす事を示している。此は北村(包)教授1)がアレルギ一性皮膚疾患の診断及び治療の中でも言及され一々の例にアレルゲンの証明,及びアレルゲンを以てする特異療法のいずれもが極めて因難である事の止むを得ざる帰結であるが,皮膚疾患そのものが多くの原因に対しても同様の変化を示すという本質から招いた宿命でもあり得ると述べて居られる。又更に近年抗アレルギー療法が専ら非特異的な方向へ動いている事は事実であると指摘とている。てうした傾向はアレルギー発生機序が次第に解明された事にもよるし,単に抗原又はその作用よりも抗原抗体反応とそれに惹起せられた生化学的,組織学的諸変化がより直接的に病変そのものに結びついている事が認められた為でもあろうとしている。
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