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海外トピツクス
pp.493-494
発行日 1951年10月1日
Published Date 1951/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1491200609
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皮膚掻痒症のカルヂアゾール療法
強心,呼吸中樞興奮剤のカルヂアゾール(カンフアー分子にアミノ基を導入したもの)が神經皮膚炎,濕疹,扁平紅色苔癬,慢性蕁麻疹,アレルギー性皮膚疾患に對して止痒並に治癒效果があることは,4年前Charpy並にGrapinによつて認められ,その作用機序を本剤の脳皮質に對する麻痺作用,並に間脳,自律神經中樞に對する興奮作用により緊張異常を來たした自律神經(主として迷走神經)の調整に求められている。後に至りHe-ss及びSchwindtはこれを追試,その效果を確認した。すなわち抗ヒスタミン剤を2〜3週使用して效果のなかつた特發性皮膚掻痒症,續發性皮膚掻痒症の計50例に對して,カルヂアゾール0.2ccを週2〜3回筋肉内に注射した。自律神經症といわれる特發性掻痒症23例中,全治12,軽快3,不變8と好結果なるに對し,脂漏性濕疹,濕疹,神經皮膚炎等の續發性掻痒症27例中,全治9,軽快4,不變14例と,その成績は餘り良くない。特に自律神經症と考えられている神經皮膚炎7例中1例が軽快,6例不變となり,效果が少いことは,かかる疾患にも素質が重要な役目をなすことを示している。なお本剤によつては先づ掻痒が消失し,その結果皮疹が消退するものである。注意すべきはカルヂアゾールは2〜8平均5回にて效果が發現するから,9〜10日以上の注射は無駄である。
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