特集 喘息・COPD—病態の多様性の捉えかたと最適な治療選択
Ⅰ.オーバービュー
喘息とCOPD;疾患概念および治療法の歴史的変遷
權 寧博
1
1日本大学医学部内科学系呼吸器内科学分野
pp.180-186
発行日 2019年5月1日
Published Date 2019/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1437200235
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はじめに
気管支喘息という疾患は,人類が誕生したときから人々を悩ませてきた病であったと考えられる.その証拠に,古今東西の病気について書かれた最古の記録のなかに喘息は登場する.長年にわたる人類と喘息との戦いは,吸入ステロイドの登場により一変し,現在では適切な治療が行われれば,多くの患者がその症状から解放されるようになったが,このような治療法が確立したのは,ほんの20〜30年前のことである.一方,COPDは,喫煙や大気汚染,人口の高齢化など近代社会の発展がこの疾患を重要な医学テーマへと押し上げ,スパイロメトリーの登場後,変遷を経て疾患概念の形成へと至った.現在の喘息やCOPD,また,近年注目されている喘息とCOPDのオーバーラップなどの疾患概念や,これらの治療法は,歴史的変遷の一つの到達点であり,本稿では,その過程を知ることで,これら疾患理解の一助となることを目的とする.
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