連載 症例で学ぶ非結核性抗酸菌症・6
難治性肺MAC症の治療戦略—ニューキノロンおよびアミノグリコシド系抗菌薬の役割
八木 一馬
1
,
長谷川 直樹
2
,
倉島 篤行
3
,
森本 耕三
3
1慶應義塾大学医学部呼吸器内科
2慶應義塾大学医学部感染制御センター
3公益財団法人結核予防会複十字病院呼吸器センター
pp.599-602
発行日 2016年6月15日
Published Date 2016/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404205978
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症例(図):50代女性,身長160cm,体重45kg.
現病歴:X−5年に健康診断の胸部X線で異常陰影を指摘され,呼吸器内科を受診した.胸部CTでは左上葉と右中葉を中心に粒状影,浸潤影,気管支拡張が認められた.気管支鏡検査を施行し,気管支洗浄液よりM. aviumが培養陽性となり,肺MAC症と診断された.しかし,自覚症状や胸部画像所見の変化が乏しかったため,無治療経過観察とされた.X−3年に画像所見の軽度悪化を認め,クラリスロマイシン(CAM)800mg/日+リファンピシン(RFP)450mg/日+エタンブトール(EB)750mg/日による治療が開始された.治療開始2年後のX−1年に咳嗽,喀痰,労作時呼吸困難の増悪を認めたが,画像所見は変化がなかったため,同治療が継続された.しかし,その後も自覚症状は増悪し,3カ月前の胸部CTでは右中葉・左上葉の浸潤影が増悪していた.細菌学的にも抗酸菌塗抹陽性,M. avium培養陽性が持続しており,治療方針の検討目的でX年に当科外来を紹介受診した.
既往歴:なし.内服薬:CAM,RFP,EB,去痰薬以外になし.喫煙歴:なし.職業:百貨店で服飾品販売.アレルギー:なし.
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